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サステナビリティに対する考え方を啓蒙する「商品の形」【Weekly News#26】
こんにちは!
フォワード(現:バイウィル)でインターンをしている日下です。
私は現在ビジネススクール(MBA)に通いながらフォワード(現:バイウィル)でインターンをしています。ビジネススクールで学んだことを、フォワード(現:バイウィル)内に蓄積されたナレッジと合わせてご紹介できればと思います。
それでは今週もよろしくおねがいします!
サステナビリティに対する考え方を啓蒙する「商品の形」とは?
今週は、サステナビリティに対する考え方を「商品の形」を通じて啓蒙していくというテーマでお届けします。
一般的に「サステナブルな商品」と言うと、プラスチックを紙に変えるなど環境配慮型の素材や原材料を使用している、捨ててしまうはずのものをリサイクル・アップサイクルしているなどのイメージが強いのではないでしょうか。
今回の記事では、商品製造のプロセスにおいて、通常であれば行うはずの加工やプロセスを省き、敢えて”そのまま”商品とすることで、サステナビリティに対する考え方をメッセージとして伝えている事例をご紹介致します。
事例1:株式会社良品計画 「不揃いりんご」
1つ目の例として、株式会社良品計画が販売する「不揃いりんご」をご紹介致します。
無印良品では、2019年から「不揃いりんご」の取り扱いを行ってます。おいしいりんご作りにこだわりつつも、農業人口の減少や生産者の高齢化が進む日本国内で、農業が持続可能な産業であり続けるために、できる限り無駄のない生産・流通工程を目指して生産者とともに取り組んできました。
1年目は「軸が無い」、「キズ、シミ、色むらがある」などの理由で一般規格から外れてしまう(規格外)サンふじを販売、2、3年目は「赤く色づくようにする」「外観で選別する」「サイズを細かく分ける」といった作業を削減したりんごを販売するなど、りんごの味を左右する作業は残しつつ、おいしいりんごの生産に毎年試行錯誤を続けています。
https://www.ryohin-keikaku.jp/news/2022_1202.html
一般的なフードロス削減の取り組みにおいては、見た目が悪い・大きさが小さい・形が崩れている、などの規格外フルーツは加工され、「○○ジュース」などの加工品として提供されることが多いかと思います。
一方で株式会社良品計画では、生産・流通の工程を大きく削減、”敢えてそのまま”という商品の形で販売することで、農業人口の減少や生産者の高齢化への対応とするとともに「大切なのは見た目ではない」という考え方を訴求しているのではないでしょうか。
事例2:尾山製材株式会社 「RetRe(リツリ)」
類似する事例として挙げられるのが尾山製材株式会社のオフィシャルブランド「RetRe(リツリ)」です。
カシノナガキクイムシによる虫食いの被害によって穴があいた虫食い材。
その木材は、「使えない」という考えから多くが山に放置されてきました。そんな里山の状況や、木に関わる人たちの状況を危惧し、尾山製材は使われていない木材を使ったブランドRetRe(リツリ)を立ち上げました。
このRetRe(リツリ)というブランド名には、
『Re tree:使われなくなった木を道具として再生していく』
『Re + Re:ブランドを通して里山再生を積み重ねていく』
という2つの意味が含まれています。里山再生への思いを込めて作り上げた道具達、虫食い材で作り出される自然の表情をお楽しみ下さい。
https://www.retre.jp/
通常では「商品にならない」と決めつけられてしまう虫食い材ですが、RetReでは、それを”敢えてそのまま”販売することで、虫食い材が作り出す「自然の表情」を顧客に提供する価値として販売しています。
RetReでは、虫食い材を”敢えてそのまま”販売することで、「自然の表情を楽しめる」という考え方を訴求しているといえます。
”敢えてそのまま”という「商品の形」を通じて、サステナビリティに対する考え方を啓蒙
良品計画では不揃いのりんごをそのまま販売することでフードロスを削減し、RetReでは虫食い材をそのまま販売することで里山の再生を促していますが、両社の事例に共通しているのは、選別や加工という工程を省略し、”敢えてそのまま”という商品の形で販売しているということです。
「敢えてそのまま」販売することによって、良品計画では「大切なのは見た目ではない」「不揃いのりんごでもいいんだ」というような考え方を啓蒙し、RetReは「虫食いは自然の表情だ」「虫食い材ならではの良さがある」というような考え方を啓蒙していますが、実際に消費者の手に届く商品、その見た目から伝わるメッセージは非常にわかりやすく、インパクトのあるものになっているのではないでしょうか。
おわりに
今回のWeekly Newsでは、株式会社良品計画、尾山製材株式会社の事例を通じて、「商品の形からサステナビリティに対する考え方を啓蒙していく」というテーマについてお伝えしました。
注意したいのは、「敢えてそのまま」販売することは手段であり、あくまでも目的はブランドとしての考え方を啓蒙すること、伝えることにあるということです。
その他の、サステナビリティ・ブランディング【Weekly News】は下記からご覧いただけます。
今週も最後までご覧いただきありがとうございました!